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FOMCのFFレート決定に伴う政治的駆け引き
「タカは一羽だけ?」
今週FOMCは予想通りFF金利誘導目標をゼロ〜0.25%に据え置き、「FF金利を長期間(for an extended period)異例に低水準とすることが正当化される可能性が高い」との声明文も維持しました。しかし今年投票メンバーに加わったホーニグ・カンザスシティ連銀総裁が、「長期間」の文言は不要として反対票を投じたことからドル買いが強まり、一時は90円台を回復しました。
ただし、ホーニグ氏はもともとタカ派のインフレファイターで知られており、反対票を投じたこと自体にはさほど違和感はありません。「異例の低金利を
長期間維持する」方針に対する反対票はまだホーニグ氏の一票だけであり、利上げがコンセンサスとなるまでの道のりはまだまだ長いと見るのが妥当でしょう。FF金利先物は多少上昇したものの、10月限がまだ0.43%あたりで推移しており、9月のFOMCでの利上げを7割程度しか織り込んでいない状況です。
ちなみに、FOMCのメンバーは正副FRB議長と、常任の理事、それから12の地区連銀のうち5つの地区連銀の総裁が回り持ちで担当します。NY連銀総裁は常任の投票メンバーです。ご参考までに、現在のFOMCメンバーの顔ぶれと、最近の発言をもとにしたタカ派・ハト派のバイアスを書き出してみました。
【バーナンキ議長】は超緩和政策を主導するハト派の代表格で、ヘリコプター・ベン(ドル札を刷ってヘリコプターでばらまく例えから)の異名を持つ、量的緩和支持者です。雇用統計が上振れした直後の昨年12月7日の講演では、「米経済は依然、相当な向かい風に直面している。失業率は来年低下に転じるだろうが、そのペースは鈍い」と景気に慎重な姿勢を示したうえ、「FOMCは引続き『長期間(for an extended period)』の低金利を予想している」と利上げ観測を牽制しています。当然景気回復や雇用市場の底打ちに対する判定もかなり慎重となるでしょう。
【コーン副議長】も、失業率高止まりや設備稼働率低下など経済の弛みを懸念する発言を繰り返しており、ハト派寄りスタンスと見られます。
【ウォーシュ理事】は、昨年9月には「出口戦略は必要性が明確になる前に実施する必要がある」と利上げに前向きな発言していましたが、「米経済は上向いている可能性があるが、依然として非常に長い修復期にある」と慎重な見方も示しており、特に利上げ積極派というわけでもないようです。多数派につくバランス重視スタンスといったところでしょうか。
【デューク理事】は、1月4日に、「2010年は緩やかな回復、低金利の長期維持必要」と発言しており、景気重視派・ハト派とみてよさそうです。
【タルーロ理事】は金融機関の監督行政が専門のようで、景気や金融政策に関する発言はあまりありませんが、昨年10月には「商業用不動産の信用状況が重要な問題分野」と指摘しており、金融引き締めには慎重スタンスと見るのが自然でしょう。
【ダドリーNY連銀総裁】は、1月13日には「低金利があと1〜2年続く可能性がある」、1月14日には「長期間(extended period)は少なくとも6ヶ月という意味」と発言しており、かなりハト派バイアスと見られます。
【ピアナルト・クリーブランド連銀総裁】も、昨年10月に「現行の緩和的政策の維持が回復を支援する」と発言。ハト派寄りスタンスと見られます。
【ローゼングレン・ボストン連銀総裁】も、1月8日に「景気が回復している間も失業率はかなりの高水準にとどまる。低金利維持が正当化される」と発言しており、ハト派寄りスタンスです。
【ブラート・セントルイス連銀総裁】もハト派寄り。1月10日には、「金利はしばらく低い水準に留まる可能性が高い」と発言しています。
【ホーニグ・カンザスシティ連銀総裁】は、メンバー中唯一の明らかなタカ派です。今週のFOMCで「長期間異例の低金利を維持するとの見通しは
正当化されない」と主張し反対票を投じたほか、1月11日には「失業率が10%でもFF金利誘導目標の引き上げを検討すべき」とのタカ派的見解を示しています。
こうして見ると、今期のFOMCメンバーはがっちりとハト派で固められており、ホーニグ氏は完全に少数派であることが分かります。ホーニグ氏は今後も「タカ派のご意見番」として引き締めの必要性を訴えていくでしょうが、FOMCのコンセンサスが利上げ開始に傾くにはかなりの強気材料がそろうことが必要であり、年内はこのまま実質ゼロ金利が維持される可能性も小さくありません。金利先高観を材料にしたドル買いは持続しにくいと見るのが賢明でしょう。
なお、タカ派・ハト派の評価は直近の発言をもとにした筆者の個人的な見解であり、一般的な評価と異なる場合があります。また景気・インフレ見通しの変化にともない各メンバーのスタンスも変化することがありますのでご注意ください。外国為替相場における取引は自己責任でお願いいたします。
2010年1月27日米国FOMCに関連するニュース
27日の外国為替市場では、ドルは大半の主要通貨に対して上昇した。カンザスシティー連銀のホーニグ総裁が米連邦公開市場委員会(FOMC)において、政策金利をゼロ近辺に据え置くことに対する反対意見を示したため、米国の利上げが近いとの観測が広がった。
ホーニグ総裁はFOMCで政策金利を極めて低い水準に据え置くことに反対票を投じたことから、ユーロは一時的に2009年7月以降では初めて1.40ドルを割り込む一方、円はドルに対して日中安値へ下落した。高金利通貨も、オーストラリアドルを中心に大幅下落した。
英中銀イングランド銀行関係者が、英国経済は26日に報じられたよりも速いペースで成長する可能性があると発言したことから、英ポンドはドルに対して最も堅調に推移した。
「FOMCで反対票が投じられたのは予想外であり、米連邦準備制度理事会(FRB)内部で金融政策の正常化に向けた動きが段階的に進みつつある兆しとなった」とトラベレックス・グローバル・ビジネス・ペイメンツのシニア市場アナリスト、オマール・エジナー氏は述べた。米国経済に対する見通しが「極めて微妙に」上方修正されたことも含めて、今回のFOMCの結果を受け、「今後数週間、ドル高基調が続く可能性がある」とも語った。
一方、「本日の決定で再び、FRBが引き締めに傾いていることが示唆された」とブラウン・ブラザーズ・ハリマンのシニア為替ストラテジスト、ウィン・シン氏は述べた。
米雇用統計が期待外れの内容だったこともあり、過去数週間は米国の利上げ観測に焦点があたっていなかったが、本日のFOMC声明によって「利上げ観測が再び注目されると思われる。これは、ドルにとって強材料となるだろう」とシン氏は述べた。
(ダウ・ジョーンズより引用)
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